大判例

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大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)1612号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

第二責任原因

一<証拠>を総合すると、被告会社は前田車を事故当時所有していたこと、被告会社は印刷機械の販売、修理及び調整設置並びにこれに付帯する一切の業務を行うことを業とする従業員一二名の会社であつて、うち五名が印刷機械の修理を担当していたが、午前八時から午後五時までの勤務時間外の早朝及び夜中でも顧客より修理依頼があることから、即時に依頼主へ従業員を差向ける必要上、修理担当従業員にはほぼ一台づつ被告会社所有の車両を与え、右車両の維持費、修理費は全て被告会社負担であつたものの、従業員が自宅へ右車両を持ち帰ることは認めていたこと、訴外浜田泰伯(以下、浜田という)は事故当時被告会社に勤務し、修理担当従業員であつたため、被告会社は浜田に対しても被告会社所有の前田車を貸し与え、その管理を浜田に委ねていたこと、浜田は事故の前日に被告会社の命により出張勤務し、帰社後、東大阪市楠根三丁目所在の野添産業の近くにある喫茶店に赴いたところ、友人の前田及び訴外西川忠宏(以下、西川という)と出合い、浜田については翌日が休暇となつていたことから、話し合いの結果、右二名も浜田宅で泊まることととなり、浜田と西川が飲酒していたためもあつて、浜田からエンジン鍵を渡された前田が前田車を運転し、藤井寺市所在の浜田方へ赴いたが、浜田の妻の反対にあつて、前田と西川はやむなく前田車で寝ていた際空腹をおぼえ、西川と相談のうえ食事に行き、その帰途に本件事故が発生したことが認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

二被告は前田車の運行供用者であることを否認し、その理由として、前田車につき被告会社の業務及び通勤のためにのみその使用を許し、浜田が私用に使うことを禁止していたこと及び前田の運行は浜田に無断でなされたものであることを主張し、<証拠>中には、これに添う供述がある。

しかしながら、前記認定事実によれば、被告会社は、その業務の性質上、車両の修理費、維持費を負担し、業務の遂行のためこれを使用していた前田車に対する運行供用者性を残しながらも、修理担当従業員である浜田に対し自己所有の前田車の管理を委ね、浜田の自宅への持ち帰りを認めているのであつて、特に、翌日は休暇であるのに浜田に対し、前田車を自宅へ持ち帰ることまで認めている被告会社の前田車両に対する管理状況を考慮すれば、前田車に対する使用方法の限度も、浜田に対し周知徹底していたものとはいえず、むしろ、浜田が前田車を私用に使うことも黙認していたものと推認され、また、浜田が前日退社後に被告会社附近の喫茶店で飲酒したこともあつて、浜田宅へ向う際、前田車のエンジン鍵を浜田の手により前田に手渡し、その運転を依頼しているのであつて、三人で浜田宅へ向つた理由が、前田、西川を浜田宅へ泊める旨の浜田と前田、西川との約束の履行にあつたのに、浜田の妻の反対のためその目的を達することができなかつた浜田において、前田らに対し、前田車の使用を拒否したものとは考えられず、むしろ、これを容認していたものと推認されるのであるから、被告会社の前田車に対する運行供用者性は、なお失なわれていなかつたものというべきである。従つて、被告会社は原告に対し、自賠法三条により、原告の損害を賠償する責任を負う。

(坂井良和)

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